年配者を風邪ウィルスなどによる多臓器不全から守る1

 年配者が亡くなられる多くの原因が、多臓器不全という症状であることは知られています。

 老衰というものの殆どは、この多臓器不全のことを言うわけですが、身体の弱ったお年寄りは、風邪やインフルエンザなどのちょっとした病気から、多臓器不全を起こして亡くなられる方も非常に多いのです。

 実は、風邪やインフルエンザによる多臓器不全からお年寄りを守ることは、結構簡単だったりするのです。

 まず、病原菌やウィルスなどによって多臓器不全が起きる原因が掴めていますので、それに対処してあげれば、お年寄りに不必要な苦しみを与えないで済むのです。

 人体がインフルエンザや風邪ウィルスと闘うとき、体内では抗体という免疫物質を作り出しています。

 この抗体は、ウィルスに取り付きウィルスを殺す役割をします。

 しかしウィルスの中には、インフルエンザなどのように、その時々でウィルスの形(抗原)が変わってしまい、以前に作られた抗体が役に立たない場合も多いので、そういった場合は、ウィルスを駆逐するために、抗体とは違った免疫機構が作動します。

 抗体の次なる免疫機構として、主に好中球という白血球が働きます。この好中球はウィルスを発見すると、ウィルスを自分自身の中に取り込み、大量の活性酸素を発生させて取り込んだウィルスを駆除します。

 最近の健康ブームによって、活性酸素についてはクローズアップされています。

 多くの場合、活性酸素は万病の元という知見を与えらています。

 しかし活性酸素は本来、侵入してきたウィルスなどの外敵と戦うための手段なのです。

 そして、活性酸素が健康を害するようになるのは、その活性酸素を無害化する機構がうまく働かずに、大量に発生した活性酸素を処理しきれなくなったときなのです。

 健康な成人の場合、好中球によって発生した活性酸素を無毒化する機構(SODと呼ばれる機構が有名ですね)が整っていますので、活性酸素の大量発生が起こっても、それほど重大な病気にはならないのです。

 お年寄りや体調を崩している成人の場合、この活性酸素を無毒化する機構が弱っているため、多臓器不全などの重大な症状を引き起こしかねないのです。