カルシウム不足が認知症(痴呆)を招く

 カルシウム不足はブドウ糖や遊離脂肪酸をエネルギー(ATP:アデノシン3リン酸)に変換する働きを持つミトコンドリアという細胞内組織の活性を鈍らせることが、様々な実験で確認されています。

 脳は体を構成する器官としては特にエネルギー(ATP)を必要とする器官ですので、エネルギーを作り出すミトコンドリアを不活発にさせるカルシウム不足は、直接的に脳の活動に大きな影響を与えるといってよいでしょう。

 細胞を正しく働かせるためにはカルシウムの助けが必要です。それと同様に、脳の神経細胞の活動にもカルシウムが大きく関わってきます。

脳には記憶や思考を司る神経細胞が非常に多く存在しています。
この神経細胞は神経結束とも呼ばれるシナプスでできています。ヒトがものを記憶したり物事を考えたりするときには、様々な神経伝達物質がこの神経シナプス間を行き来します。

 この神経伝達物質を別の神経シナプスに飛ばす働きを担っているのが、カルシウムなのです。

 通常、脳神経細胞内に1個のカルシウムが取り込まれ、この1個のカルシウムがポンプを動かして神経伝達物質を放出させます。その時に使われたカルシウムは再び細胞外に放出され、別のカルシウムが脳神経細胞内に再び取り込まれ次の思考や記憶に使われます。

 脳はこれを繰り返して活動しており、そのカルシウムの取り込み・放出のサイクルは通常の細胞の場合の数100倍~数万倍といわれ、脳はカルシウム不足が非常に顕著に現れる器官でもあります。